また今回もいつも同様、全文、きちんと読んだわけではないので、かいつまんでの読後感ではありますが、なにかのためにここに記録しておきます。
SNS全盛期、2010年代において情報化社会ともてはやされていたような雰囲気も合ったこの時代に生きていた著者とその思いを実現するための会社の移り変わりを書いている本ですが、批評家であり作家でもある著者の言葉のうまさに、読んでいてたびたび「そうか」と思うことがありました。
まえがきに『ひとは40歳を過ぎても、なおかくも愚かで、まちがい続ける。』とありますが、耳が痛いですね。まちがいに気付いている間はまだマシですが、まちがっているときって、そのまちがいに気付けないのが一般的だと思います。足下しか見ないでうつむいて歩いて行くのは喜ばしいことではないですが、自信過剰になって足下が見えない歩き方もしたくはないですね。
中身を抽出すれば、いろいろとあるのですが、「事務こそしっかり体制を整えるべき」とか、ああそういう見方もあるのか、という感じに展開されていて、逆説的な考え方をしてみたり、思考のパズルというか、脳の体操的に読んでいても心地よいところのある内容だったりします。
心地よいといっても、本の内容を通して全てがそうだったとは言いません。著者が精神状態を悪化させたところなどは読んでいて気分が悪くなりましたし、途中で読み飛ばすことをしていなければ私も巻き込まれるところでした。ただ、それくらいには入り込んで読めたのかな、と思っています。
小さいながらも会社の代表を務めることの大変さ、その間にも変わりゆく社会情勢、そして出会いと別れの人間関係。そんな、よくあるビジネス書の起業本には書かれていないことを知りたい人にもお勧めできるかもしれない、そんな一冊でした。
また、機を改めて、読み返したいと思います。